「デザインは誰かのために何かをすることです。」いつも僕が言っていることです。どんなときでもデザインするときは、(それが不特定多数の人達に向けてのものであっても)誰かのことを考えて創ります。しかし、「そんなことはどうでもいいから、辻村さんらしいいものを創ってくれ」と言われることがたまにある。自分自身ではあれがしたいこれがしたいというような創作に対する欲望があまりない僕にとって、一番苦手なリクエストである。
また、辻村らしいって・・・どんなモノだろう?と考える。自分はその時々のクライアントの為に創っているわけで、自分で自分らしいモノを意識してデザインしている訳ではない。いくつかの作品に共通するモノを僕自身ではなく廻りの人達が共通項として感じているモノが辻村らしいモノなんかじゃないかと思う。そしてそれは、人それぞれ印象の違うモノであっていいと思う。
でも、最近、自分自身が思う辻村らしいモノってなんだろうと客観的に考えてみるようにしている。
辻村 久信