漆黒の溜塗りの茶碗にお濃い茶の緑が残るイメージを表現する壁面。手割りをした木材を酸化させて黒くし、その表に緑色のグラデーションを施しました。
プランの最初は再現性ふくめ、インクジェットプリントで考えていましたが、サンプル制作を繰り返すうちにどうしてもその表情がうまく出せず、やっぱり人の手仕事になってしまいました。その分時間もお金もかかるのですが、人の心に残る”深さ”に繋がっていくと思います。
工場で、水性のペイントを何層にもスプレーで塗り重ねて表情を創っていきます。色の種類、彩度、濃度、表現する基材(木)、光源の輝度、色温度などなど様々なものが影響し合って表情を作ります。
図面や模型、CGでも表現できないものは実際に眼で見て感じて確かめます。
人の感覚はその環境によって様々に変化します。
(辻村久信)