「・・・あざやかに過ぎて、あしし」南方録の一節に夜会での灯火の心得を説いた利休の言葉がある。その言葉の真意を推し量る事はできないが、そこに数寄の心が集約されているように思う。 インテリアデザインは、その素材と構成、そしてディティールに精魂込めながら、背景に徹する事であり、主役はあくまで客と"茶の菓"である。
「・・・あざやかに過ぎぬよう」人の心の深い場所に"茶の菓の記憶"と共にゆらり波紋を残すような脇役にならなくてはならないと思っている。
(辻村 久信 )