”森の中の研修所” 堀場朽木研修センター

2009-05-27

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森の中で樹に囲まれていると、人は自然の一部になって原生の記憶を蘇らせる事ができます。それは、リラックスし癒される事でもありますが、人間が本来持つ様々な能力を想起させる事にもなります。
堀場朽木研修センター”森の中の研修所”は、日常の仕事の領域を少し離れて、森の中に身を置く事によって、個人の能力を高め、組織の持つ力を最大限発揮できるよう考えられた施設です。

仕事に集中する”ON”の環境と、そこから解き放たれリラックスし、コミュニケーションする”OFF”の環境をより鮮明に分けて計画しながら、「森の中の研修所」というコンセプトに融合していく事、一見アンビバレントに見えるその行為が新しい発想の源となる様にデザインしました。
また、何かが起こるのではないかと思える期待感や単純に「行きたい」と思える魅力ある環境づくりはインテリアデザインの力であると言えます。人は環境の生き物といいますが、与えられた環境によって様々な能力を発揮します。レストランやブティック等の商業空間以外の空間でも人の気持ちをコントロールする事のできるインテリアデザインには様々な領域で可能性を持っています。


[バーラウンジのインテリアグラフィック]

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バーラウンジは、”OFF”の空間。自然石を積み上げた中央の暖炉の燃える炎を見ながら、言葉を超えた深いところでのコミュニケーションを想起させます。
暖炉を囲む様にして林立する柱は、テキスタイルデザイナーの脇阪克二氏に森をイメージしてデザインしていただいたグラフィックを鋳鉄にレーザーカットして内照式にして、バーラウンジのアクセントとしています。このグラフィックデザインは、バーのバックカウンターの手漉き和紙を使った光壁にも使用しています。


[メインダイニングのデザイン]

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私達が、堀場朽木研修センター”森の中の研修所”のデザインを依頼されたのは、建築が概ね出来上がった頃で、現場が動きながらデザインをしていくというようなアクロバットなクリエーションでした。特にこのダイニングルームは工事が進んでいて与えられた条件は非常に厳しいものでした。
そこで、この空間の特徴である天井の梁柱の形状をうまく利用して、その間に、この空間にはスケールアウトした大きなシーリングライトを取り付けました。その事によって、現実的な「食べる」という行為、「食堂」という場所に少しの違和感を与え非現実でウイットにとんだ空間を創りました。

インテリアデザインの力は、このようにワンコンセプトで空間が劇的に変化するというところだと思います。
例えば、相撲の大阪場所です。普段は、コンサートや他のスポーツに使われている大阪府立体育館が土俵とつり屋根が掛けられるだけでいきなり神聖な相撲の世界になります。これが、インテリアデザインの力です。
(辻村 久信)

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