八ヶ岳美術館/村野藤吾

2009-09-10

八ヶ岳山麓の唐松林の中点在する彫刻の間を抜けてゆくとに半円形屋根の重なった小さな美術館がある。
1980年竣工当時90歳を真直に迎えた建築家・村野藤吾の晩年の作品、「八ヶ岳美術館(原村歴史民族資料館)」がある。
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建物は外壁をセメントブロックを素地で仕上げ、防水処理を施したプレキャストコンクリートの半円形ドームを屋根として載せ、屋根と外壁の見切り部分に水切りとして塗装されたステンレス板を廻している。
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エントランスのドアのハンドルの木を削りだした曲線がやさしくて、この時代独特のフォルムでの物と人とのインターフェースを感じるデザインだ。
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インテリアデザインは、建築のフォルムをそのまま生かしたボールト天井を薄い布ドレープを付けて覆っている。この時代と村野藤吾の年齢を考えるとかなり挑戦的なデザインといえるだろう。照明や空調等の設備計画も大丈夫なのかと思えるけれど30年も時間を経て美しく保たれている事を考えると凡人の考える事ではないのである。
この近くにある「小山敬三美術館」の方が僕は好きです。

(辻村 久信)

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