1995年〜2010年、事務所を独立して15年になります。
創業100年のお店が新参者ですといわれる様な京都にあっては、15年なんてスタートラインにもたてていない様なものですが、ひと独りの人生の中ではかなりの永い時間を占めています。デザインを仕事にしてしまって、その仕事に追われて、知らず知らずのうちに流してしまった、流されてしまった事もたくさんあります。昨年はこの15年を振り返り、自分と自分のデザインについてずいぶん長く考えました。
今年は"RE/再"です。
Reduce(リデュース:減らす)/Reuse(リユース:再利用)/Recycle(リサイクル:再資源化)/Refuse(リフォース:不要なものをなくす)/Repair(リペア:なおして使う)/Remix(リミックス:再編集)/Rethink(リシンク:再考する)/Rental(レンタル:借りる)/Return(リターン:戻す)/Reform(リフォーム:改良する)/Rebuy(リバイ:買う)/Regeneration(リジェネレイション:再生品)・・・
REに関連する言葉はたくさんあります。すべてに通じる事は、今そこにあるものに人の手や技術、想いを加える事によって新しい価値を生み出す事のようです。
経済をはじめとする物質的な成長はもはや神話の様になってしまった現代において、人が人として生きていく事の豊かさを享受してく為には今迄に無い価値を創造しなければなりません。
私は、日本人が日本人固有の情緒を持ってそのミッションを達成するのではないかと思っています。そして、それは世界を巻き込んで新しい世界基準として新たな未来につながっていくと思っています。その日本人の情緒を表現するものは、もはやデザインという手法ではくくれない"術"かも知れませんが、"RE/再"を考察する事によって見えてくる何かが"思考の種"を蒔く行為になるのかもしれません。
(辻村久信)