IFDA(International furnishings and design association:www.ifda.com)の主催のデザイナーショーハウスが今日2月6日〜20日迄シーガルてんぽーざん大阪で開かれます。
デザイナーショーハウスは、約40年前アメリカで始まった歴史あるイベントです。
老朽化によって価値が損なわれつつある邸宅などに、インテリアデザイナーなどが個性あるデザインデコレーションで新たな命を吹き込み、これを一定期間一般公開します。
収益金は慈善団体などに寄付されるチャリティイベントであるため、デザイナーも運営ボランティアも来場者もデザインを通じてできる社会貢献に意義を感じることのできるイベントです。今回のショーハウスの収益金は、小児がん専門施設設立を目指すNPO法人チャイルド・ケモ・ハウスに寄付します。
「最愛の空間」というコンセプトでホテルの一室をデザインする。
何でもそうですがひとつの事を決めるのは大変難しいものです。大好きな食べ物ってなんですか?好きな色は?好きな服は?好きな場所は?どれもこれもその時と場合によって人は変わります。だから、これさえあれば大丈夫なんて言うものを持っている人ってある意味うらやましい限りです。
そこで、最愛の空間を考えるとき、結局、「空間を意識しない空間」というようにちょっと逃げ?て「景kei 」と名づける部屋をデザインしました。
レーザーカットで森の枝をイメージした薄い布を幾重にも重ねて、そこにあるべき壁の存在を消しています。また、葉っぱのテキスタイルデザインを京都の帯を織る技術で床に敷き詰め(このデザインはバスルームの床や衛生機器にもプリントされている。)、光りの差し込む角度によって見え方の変わる特殊な手法でその距離感を消失させています。
あくまでも、僕はホテルとして機能出来うる空間にリノベーションしましたが、残念ながら期間が過ぎると解体されてしまうようです。mottainaiことです。
デザイナーショーハウスのイベントの一環として、2月13日土曜日15時30分〜"最愛の空間?カフェのある老人ホームSARAの場合"というタイトルで講演させていただきます。入場料がかかりますが、チャリティーだと思ってぜひご参加ください。
最愛の空間 「景kei 」デザインコンセプト
「床の間の室礼や、借景という考え方に表される様に、空間に環境を取り込む感覚は"情緒"となって日本人の記憶の中に刷り込まれている。「最愛の空間」を考えた時、物理的な領域を規定しない想念の地平線を思い描きました。それは、現実の空間を飛び越えて、限りなく自由で、地球上で唯一束縛を受ける重力さえも軽減してしまう力を持っているのではないか。
幾つかの希薄な面が、それぞれに微妙な距離と角度を保ちながらその関係性を創っている。その単純な行為が、今そこにある空間を規定する領域を曖昧にして尚かつ劇的に変化させる。
(辻村 久信)