人に伝える事が一番難しいのは照明の計画だろうと思う。
コンピューターの中でバーチャルな空間を創って表現することができるようになったけれど、それでも何か表現しきれないものがあるように思う。
僕がデザインをはじめた頃はコンピューターもほどほどだったので、照明計画をプレゼンテーションするのは色付された図面とイメージ写真、場合によっては1分の1のモデルのモックアップで表現する事くらいだった。
そうした中で一番重要なのは、「光を伝える言葉」。言葉は見えない光景を記憶の力を借りて可視化する魔法の様なものである。一言が全てのプレゼンツールを超えてイメージを共有できるものになったりする。
人の琴線に触れる事のできる「ひかりを伝える言葉」。
言葉は、唯一光のイメージを伝える手段なのかもしれない。
(辻村久信)