NOTES
硬質な素材で清潔感と若々しさを表現
オープンして9年。「クンクンルーホー」は着実にファンを増やしてきた美容院である。
今回の改装には、日々の営業で雑多になってしまったものの整理と、限られたスペースでの客席の確保(6席)を基本に、明るくてシンプルな空間創りを試みた。
柱や梁の変形を貫くように、床と壁の2面をアルミニウム板で整理し、それによってできた既存壁との間に照明を入れ、間接的に天井の有機的なラインを照らしている。ポイントとなるカット席の椅子はロッキングチェアを用いている。これには、当初機能的に問題があるのでは、との不安もあったが、実際営業に差し支えはなく、客にも人気で、この空間をユーモラスに演出していると思っている。全体的にはアルミニウムをはじめ、タイルやガラス、ミラーなど硬質な素材で空間を構成することによって、清潔感や若々しさを表現した。ちなみに約10年間デザインという仕事に漠然と関わってきた僕が、初めて一人で設計したのがこの「クンクンルーホー」であった。あの頃、デザインする喜びと期待感に胸躍らせて、この空間をつくったのを今でもはっきり覚えている。