茶茶弐 MOON

CHA CHA 2 -MOON-

NOTES

現代の和の空間をつくる

今、広島で一番元気の良いア・ルーム・ウイズ・ア・ビュウが企画した「茶茶貳ムーン」は広島のオフィス街にある京風おばんざいを中心とした和風レストランです。

同社が運営する1号店の「茶茶」('97年1月号)は、昨年オープンして以来連日満員で盛況を博しており、その2号店として計画されました。当初さまざまなテナントや計画地があったのですが、最終的にこの戦後すぐに建てられた木造2階建てのアパートに強い魅力を感じ決定しました。

周知のとおり、広島は戦争で壊滅的なダメージを受け、焼け野原となった土地から復興するための一貫としてこの建物が建ったストーリーを考えると、何かの強いエネルギーを感じずにはおれなかったのです。

もちろんそういう状態で建ったものですから、その柱や梁はか細く決して立派なものではありませんし、かえって補強などのことを考えると解体して新たに建て直す方が得策であるという意見もあったのですが、その素材そのものの価値というよりも、素材を含めた空間全体の経過した時間に価値を見いだそうとしたのです。

ですから、残されている部材は構造上支障のない限り、ほぞや貫きもそのままにして、元の建築を残しています。

そして、2階建ての木造アパートは、1階にカウンター席、2階に2タイプの座敷、一部屋根裏部屋を含めた3層の和食のレストランに生まれ変わったのです。

1号店では、できるだけ現代の素材を使って伝統的な空間をつくろうとしたのに対し、今回の「茶茶貳ムーン」では、伝統的な素材をできるだけ使って"現代の和の空間"をつくろうとしました。

たとえば、ワラすさ入りの黄土を練り込んだ土壁であるとか、久米蔵(忍びの名前、ほかにサスケとかある)と言われるベンガラを使った塗料とか、もう京都でもつくれる職人がごくわずかになってしまった布ずり漆とか。それらが、アルミニウムやガラスやアクリルなどの現代と共鳴しあって、空間を構成しています。

またここで使われていない和紙は、まったく新しい技法で、従来の手漉き和紙にプリントを施したもので、光の当たり具合でその表情を変える不思議な魅力を持っています。

オープン後は予想していたOL層を中心に幅広い客層で比較的早い時間帯からにぎわっているようです。

SPECIFICATIONS

WEBSITE
http://www.jellyfish.bz/index.html
所在地
広島市中区大手町2-6-26
2-6-26 Ote-machi Naka-ku Hiroshima-shi HIROSHIMA,JAPAN