NOTES

もてなしの和空間

"師の句法に泥むべからず"蕪村の師、早野巴人の言葉である。

「師匠の言う通りにしてはいけないよ」と言っているのである。

なんと無責任な言葉であろうかと思われるかもしれないが、さもありなん。

"師匠と同じ事をしていてもだめだ、師匠を超えてゆけ"という意味を含んだ言葉だそうである。

私たち建築に携わる者の師の句法とは、木、土、石などで構成された日本の伝統的建築であるとおもわれるが、それをそのまま真似るのではなく、その伝統を打ち破り、その伝統となるべきスタイルを創り出した先人たちの精神性を、今の時代に今の時代の力を借りて再建築することができないか。そしてそれが未来の伝統となり得ないだろうか。

それが私の目指すデザインであり、自分自身の表現方法だと考えている。