NOTES
"水"と"艶"
しゃぶしゃぶ・日本料理の「木曽路 北新地店」は、木曽路ブランドの中でも新しい試みの空間で、伝統の数寄の精神を継承しながら、新しい時代のムードを取り入れ、また立地の環境の特性を配慮し、"ここにしかない木曽路の空間"を提案している。
北新地は江戸時代以降「八百八橋」水都大阪の象徴である堂島川の北側に位置し、経済、商業を中心として発展した場所で、また花街としても現在も関西有数の歓楽街であり"時代の艶"を有している大人の社交場である。
そのような場所性から"水"と"艶"というキーワードをインテリアデザインのコンセプトとした。まず.お客を向かえる2階エントランスの壁、3階個室座敷の壁には、金属を溶着したガラスに特殊なグラフィックプリントを施し、川の流れの様でもあり滝の流れの様でもあり、さまざまな心象風景を想起させる抽象的なイメージをつくり出した。これは江戸唐紙に起源をなす原痔風の襖絵の解釈である。
客席の旺盛はさまざまな使い方ができるようテーブル席や座敷はもちろん、その広さ多様で、お客の要望によって可変できるようになっている。また、それぞれお客席がそれぞれの客席の借景になるように配置計画されており、フェイクの庭を最小につくり、容積に有効利用と閉ざされたインテリアを意識させないイメージの広がりを測っている。
各客席に設けられた床の間は、踏み込み床、洞床。織部床、釣床などをイギリス製の壁紙や現代的な照明手法によって表現し、お客を向かえる脇役として空間に彩りを与えている。
「...あざやかに過ぎて、あしし」南方録の一節に夜会での灯火の心得を説いた利休の言葉がある。その言葉の真意を推し量ることはできないが、そこに数寄のこころが集約されているように思う。インテリアデザインは、その素材と構成、そしてディテールに精込めながら、背景に徹することであり、主役はあくまでも客と料理である。「...あざやかに過ぎぬよう」人の心の深い場所に料理の記憶と共にゆらり波紋を残すような脇役にならなくてはいけないと思っている。
SPECIFICATIONS
- WEBSITE
- http://www.kisoji.co.jp/kisoji/
- 所在地
- 大阪市北区曽根崎新地一丁目3-26 ぐらん・ぱれ2〜3F
2-3 F 3-26 1 Sonezakishinchi,Kika-ku,Osaka-shi,OSAKA - 撮影
- Nacåsa & Partners / 繁田諭
- 平面図